インスタレーション作品 『生け庭』 は、存在する時間が限られた庭 です。
本来の庭は時を経て変化し、在り続けるものです。作庭とは、過去・現在・未来にまたがって存在することをイメージし、そのなかで現在のかたちをつくる作業ともいえます。しかし、「生け庭」は一瞬の庭をつくる試みであり、生け花のような一瞬の風景であり、終わりのある庭なのです。自分にとってはかなり大きな考え方の変化であり、これまでの概念を超える挑戦でもあります。
一方「ものが持つ時間」という観点から言えば、生け花の素材(花材)も草木としてそれまでの時間を持っていますし、朽ちてゆく時間を内包しています。庭も『生け庭』もまた、同じ時間を持った素材からつくられます。しかし時間軸の行き先をどの点に向けるかによって(どの時点を捉えるかによって)、つくられるもの、表現される考え方が変化し、作品のもつ意味が違ってきます。
これまでに手がけてきた庭と「生け庭」の間で、考え方や表現の違いがどのような意味をもつのかを探ってみたいと思います。
Seeds-3 生け庭
2006年 3月 テアトル デ ソンス ギャラリー